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借金返済には時効があると聞いたんだけど、過払い金請求にも同じように時効が成立する場合があるのかな?

知恵博士知恵博士

払いすぎた返済が返ってくる過払い金請求にも期間があるから注意が必要だよ!

この記事では過払い金の時効に関して詳しく説明をしていくね。

「過払い金」と呼ばれる言葉を聞いたことがあると思います。

 

近年、弁護士事務所や司法書士事務所の広告で使われていることから、知っている人も多いでしょう。
 
過払い金は債務整理を行うことで算出される、払いすぎた返済金のことです。
 
つまり法律の規定以上に払っていた利息で、それを合計した金額のことを意味しています。
 
このように払いすぎたお金が戻ってくるとは嬉しい話ですよね。
 

しかし、弁護士などの広告を見てみると「時効は10年」と書かれているではありませんか?
 
どうも過払い金には時効が存在しており、それを過ぎると返済してもらえなくなるようです。
 

過払い金の時効とはどのような制度なのでしょうか?また時効を過ぎても返済してもらえる方法はあるのでしょうか?
 

そもそも過払い金ってどのようなものなの?

 
日本には借金の金利を規定する法律が2つあります。
 
貸金業者はこれらの法律を守ることで業務を行っていましたが、平成22年まではこの2つの法律にずれがあったのです。
 

【過去の利息における規定】

  • 利息制限法:15%~20%
  • 出資法:29.2%

例えば50万円を借りるとして利息制限法を適用すると、金利の上限は18%となります。
 
しかし出資法では29.2%が上限とされることから、金融業者は出資法を根拠として高い方の金利で貸し付けを行っていたのです。
 

これを「グレーゾーン金利」と呼び、過去の「サラ金地獄」などの社会問題を生んだきっかけの一つでした。
 

金融業者が利息制限法を守らなかったのは、利息制限法は罰則規定がない「ザル法」であったことが要因であり、そのために多くの金融業者がグレーゾーン金利での営業を行っていたのです。
 

このグレーゾーン金利に対して様々な批判が集中した結果、2007年に最高裁で「グレーゾーン金利は違法」との初判断が出たことで状況は急変しました。
 
金融業者は2007年~2008年にかけて金利の変更を余儀なくされたのです。
 

金融業者は今までは出資法に合わせていた金利を、利息制限法に合わせざるを得なくなり、結果として約10%もの金利引下げを行うことになったのです。
 

そして2010年には出資法の改定(施行)が行われ、上限が20%と引き下げられたことで2つの基準に差がなくなったのです。
 
つまり正式にグレーゾーン金利が解消されたと言うことですね。
 

多くの金融業者は2007年の最高裁判決の時点で金利の改定を行っています。
 
つまりその改定までは違法に高金利を取っていたことになり、それまで多くの不当利息を得ていたことになります。
 

過払い金とは利息制限法を超える金利で得た利息のことで、それを返してもらうことを「過払い金返還」と言うのです。
 

過払い金の返還には債務整理が必要

 
多くの金融業者が2008年には金利を改定しましたが、中には2010年の出資法改定まで金利を据え置いた業者もいます。
 
その意味で過払い金が発生する可能性のある借金は、最大2010年迄の借り入れになります。
 

過払い金は放置していても返ってくることはなく、債務者が債務整理を行う必要があります。
 
債務整理には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」がありますが、任意整理で過払い金を確定させることが多いようです。
 

任意整理は弁護士や司法書士が代理人となって、債務を整理する制度で、貸金業者とのやり取りは彼らが行います。返済を一時的に停止させて、債務の再計算を行い過払い金の有無と金額を確定させるのです。
 
任意整理の結果、過払い金が確認されると、そのお金を現在残っている債務と差し引きしたり、残債務以上の過払い金がある場合にはお金を返却してもらったりします。
 
債務整理を行うことで過去の返済に遡って過払い金が戻ってくる制度ですが、一つ注意しなくてはいけないポイントがあります。それが時効。
 

弁護士や司法書士の広告を見てみると、過払い金返還には時効があると記載されています。
 
そこには「10年」と書かれているではありませんか?過払い金の時効とはどのような制度なのでしょう。
 

過払い金には10年の時効があった

 
グレーゾーン金利が過払い金を生んだのですが、無条件に払いすぎた利息が返ってくる訳ではありません。
 
もちろん債務整理等によって算出することも大切ですが、実際に返還させるためには「過払い金返還訴訟」を行う必要があったのです。
 

また過払い金の返済を受ける権利には時効があることも忘れてはいけません。
 
過払い金を返してもらえる権利を「過払い金返還請求権」と呼びますが、これは民法で債権の一種とされることから時効は10年に定められています。
 

これは「債権の消滅時効」に該当しており、10年を経過すると過払い金を返してもらう権利がなくなることになるのです。
 
グレーゾーン金利が正式に解消されたのは2010年ですが、実際には2008年には貸金業者の金利は改正されています。
 
つまりは現時点で、もはや10年近くになっており、このままでは時効を迎えてしまう人も多くなると想定されています。
 

それでは10年過ぎた過払い金は絶対に取り戻すことができないのでしょうか?
 

時効の開始を理解するとまだまだ大丈夫なケースがある

 
時効で一番大切なのは、時効のカウントダウンを開始する起算日です。
 
この起算日をどこに持ってくるかで、時効の期間にも大きな違いが生まれてくるからです。
 

起算日の考え方においても最高裁の判決があります。
 
最高裁の判断では「起算日は取引が終了した日」とされており、あくまで金融業者との取引が終了した時点から時効のカウントダウンが始まるとの見解を示したのです。
 

サラ金の営業スタイルでは一定の融資枠を作り、その中で借りたり返済したりを繰り返しています。
 
つまり残高の有無に関わらず、貸し借りを繰り返す取引になります。
 

最高裁の判断ではこのように、貸し借りを繰り返している債務では、その全ての取引が終わらない限り、時効の起算日はこないと認めたと解釈できます。
 

このことから2008年以前から継続して融資を受けている人は、2008年の時点で安い金利で契約を結び直していても、契約は続いていることから時効の起算日は始まっていないことになります。
 
このような人は例え10年以上前に借りたお金でも、現在でも支払いを行っていれば、時効のカウントダウンは始まっていないと判断できるのです。
 

10年前に一度完済しても取引が終了していないケースも

 
10年前に借金を完済したケースでは過払い金の時効はどうなるのでしょうか?
 
大切なポイントは「今現在もそこの金融業者と取引を行っているか?」です。

 
先程も話したとおり、サラ金などの金融業者の営業スタイルは融資枠を設けて、その枠内での利用を繰り返すものです。
 
つまり10年前に全部の債務を返済したからと言って、その数カ月後にまた借り入れを行うことは取引終了とは見なしません。
 

つまり取引は進行しており、それが現時点まで続くのであれば、時効のカウントダウンは始まっていないと思われます。
 
10年前に1度完済したからと言って、時効が動き出した訳ではないのです。
 

しかし、完全に返済してから長期間利用がなかったり、契約を完全に解約したりすると、取引の終了と見なされるので、その場合には返済日の翌日が起算日となります。
 
つまりそこから10年で時効を迎える訳ですね。
 

2008年以前から今日まで同じ金融業者と複数回取引している人は、最後に完済した日が起算日になるので、時効はずっと後になる可能性があります。
 

過払い金の時効を消滅させる方法があった

 
過払い金には10年の時効がありますが、この時効を中断させる方法もあります。
 
中断と言ってもただ止めるだけではありません。中断とは「その時点の時効を停止して、今まで進行した時効を消滅させる」手続きです。
 

つまり今まで9年進んだ時効を全て「0」にリセットし、新たにそこから10年のカウントダウンが始まることになるのです。
 
要は10年間時効が伸びると考えて下さい。
 

時効の中断には3つの方法があります。
 

【時効の中断方法】

  • 民事訴訟
  • 調停の申し立て
  • 督促の申し立て

裁判所に民事訴訟、調停、支払い督促の申し立てを行い、これが認められると時効は中断し、さらに10年間の猶予が生まれます。
 
また時効が中断されることで金融業者は圧迫を受けることになりますので、債務整理を有利に進める上でも効果的な手段になるでしょう。
 

一時的に時効を停止させる方法がある

 
時効を中断させるには原則として裁判所に申し立てを行う必要があり、手続きに費用や時間がかかることになります。
 
また時効が迫っており直ぐに何らかの対処を行わなくてはいけないこともあるでしょう。
 

そのような時には時効の中断ではなく、停止を行うことができます。
 
時効停止は裁判所通さずに行うことが可能で、基本的に「内容証明郵便」を金融業者に送るだけで時効を停止させることができます。
 
時効が停止する期間は6ヶ月間で、それが過ぎると停止した前のカウントから時効は再開することになります。
 

この時効停止は1回しか利用することのできない制度で、6ヶ月を過ぎるからと言って再度内容証明郵便を送っても時効停止にはなりません。
 
勘違いする人もいるポイントなので注意しましょう。
 

ここで時効まで2週間なのに過払い金を変換してもらえたAさんの話を紹介します。
 
【時効を停止することで過払い金をもらえたAさん】
 
Aさんは長年生活が苦しくて金融業者から借金を繰り返していました。10年前に子供が成人となり、やっと生活も楽になったことで借金を完済することができたのです。
 
ある日、テレビを見ていると借金整理の特番をやっているではありませんか。そして過払い金の説明が詳しく紹介されていたのです。
 
「そう言えば自分も10年前までサラ金で借金をしていたな~」と軽く考えていたAさんですが、同じテレビを見ていた子供に「お父さんも過払い金あるんじゃないの?」と聞かれたそうです。
 
しかし、自分の借金は10年も前の話、「もう時効だよ」と受け流したのですが、妙に気になって過去の記録を探してみることにしたのです。
 
そうすると過去の明細書が見つかり、なんとそこには時効まであと2週間の日付が書かれていたのです。
 

あわてて近所の司法書士に相談し、内容証明を金融業者に送り時効停止を行うことにしました。
 
6ヶ月間時効が停止することで、任意整理や過払い金返還訴訟の準備は十分にできると判断したからです。
 

その後金融業者と司法書士の話し合いで任意整理がまとまり、Aさんは100万円もの過払い金の返還を受けることができました。
 
時効まで2週間程度だったのに、時効停止することでぎりぎり間に合ったのですね。
 

不法行為がある場合には時効は実質ないのと同じ

 
特にグレーゾーン金利が問題となっていた時代では、取り立てに関しても様々なトラブルがありました。
 
特に闇金なる金融業者の取り立てには問題も多く、特に暴力行為は社会問題にもなったほどです。
 

このような行為は不法行為であり、金融業者が不法行為を行った場合には、時効についても10年の規定は適用されません。
 
民法では不法行為における損害賠償請求権は、損害を知った日から3年で時効が消滅されると規定されており、これが借金の返済にも適用されることになるのです。
 
つまり損害を知った日とは金融業者に過払い金の計算のための資料を請求し、受け取った日と仮定して、それから3年後が時効の消滅日と考えるのです。
 
過払い金を請求するには金額を確定しなくてはならず、そのためには業者の取引明細が必要です。
 

「取引明細が届いて始めて損害を知ることができる…時効はそれから3年後」と言う訳です。
 
つまりこの理屈で言えば、不法行為があった場合では、取引明細を受け取った日が起算日なので、いつでも過払い金請求ができることになります。
 
これは時効の概念はなくなったと同じことになりますよね。
 

金融業者の不法行為は裁判所が判断を下しますが、強迫や暴行、早朝深夜の訪問などが問題視されるようです。
 
また契約外の多額の請求をする行為も不法行為と見なされます。
 

この制度を利用すると返済をして10年経過していても、不法行為を証明さえできれば20年後でも過払い金の返還を求めることが可能になります。
 

不法行為を証明するのは難しいかもしれませんが、過去の強迫文書や電話の録音、近所の証言などがある場合には諦めないで申し立てを行うことが肝心です。
 

過払い金は利息をつけて請求できる

 
過払い金は今まで支払ってきた返済金の一部を返してもらう制度ですが、その返却の際に利息を付けて請求することができます。
 
つまり貸金業者に対して金利を付けて請求するのです。
 

これは過払い金が「不当利得返還請求権」と見なされるからで、特に悪意のある受益者からは利息を付けて請求できることになっています。
 

つまり貸金業者が「善意の受益者」であれば過払い金のみで、「悪意の受益者」であれば過払い金と利息を請求することになるのです。
 

そして悪意の受益者の判断ですが、これは「利息制限法を上回る金利は違法との認識があったか?」が焦点になります。
 
知っていて上限を超えていたらそれは悪質と判断するしかありません。
 

最高裁で「金融業者は特別の事情がない限り、悪質な受益者とする」との判断が下されたことで、現在では大部分の金融業者を悪意の受益者と認めています。
 
つまり利息を付けた過払い金返還を認めているのです。
 

過払い金の返還における金利は民事法定利率の年利5%と高利率で定められているので、100万円の過払い金に50万円以上の利息が付いたケースも珍しくありません。
 

過払い金には利息を付けられることも覚えておきたいですね。
 

自分の判断で諦めるのではなく専門家に相談を

 
過払い金は債権と同じで時効が設定されていますが、その取扱は微妙なところがあります。特にどの時点を起算日にするのかは、債権者、債務者の考えにも違いが見られることでしょう。
 

また金利の変動と返済額を細かく計算しないと正しい数字が出てこないこともあり、個人で行うにはちょっとハードルが高いかもしれません。
 

まずは専門家に相談して意見を聞くことが大切です。
 
最近では過払い金に関する相談は、無料になっている法律事務所もあるので、安心して相談することができる環境が整っています。
 

昔の借金だから…と諦めてしまう前にもう一度昔の返済を思い出してみてはいかがでしょうか?

フキッスフキッス

過払い金請求と言っても結構難しい法律が絡んでいるんだね。ハッキリ言うと初心者だと簡単に申し込みが出来ないような気がするね。

知恵博士知恵博士

結論を言うと過払い金請求は必ず弁護士に早期依頼をする事をお勧めします。

大きな理由の一つとしては弁護士も初期費用が0円の場合が多いからリスクが少ないんだ。