急にお金が必要になったら皆さんはどうしますか?貯金があればそれで賄えるのですが、それだけの余裕はありません。
 
家族や友人に借りるのもちょっと気が引けてしまします。

 

「そうだキャッシングで借りよう!」A子さんは最近テレビでよく見るカードローンを思い出し、旅行に必要な20万円を借りることにしました。
 
彼女にとって初めてのキャシング体験は思いのほか簡単で、あっと言う間に必要だった20万円を借りることができたのです。
 
「なんだぁ簡単だった」そこで翌週も給料の前借り気分で、更に10万円を借入れしたのです。
 
そしてそのことを電話で母親に話した時に、母親からこう言われました。「あなた金利は大丈夫なの?」「高い利息が付いているでしょう」…と。
 
実はA子さんは金利についてよく理解しておらず、あくまで「月々○○円の返済」とのイメージしかなかったのです。
 
お母さんはそんなA子さんに「ちょうどいいタイミングだから金利と利息を勉強しなさい」と告げたのです。
 

金利や利息とは何を表しているのだろうか?

 
キャッシングやカードローンで借入れをする際に、「金利」や「利息」が表示されていますが、これは何を表しているのでしょうか?
 

「15.0%」「7.0%」などと%で表示されていることが大半ですが、中には「一割五分」などと漢字で記載されていることもあります。
 

金利と利息は基本的には同じことを表す言葉で、お金を貸す対価としての割合を示しているものです。つまりお金を貸すための費用(レンタル費)を提示していたのです。
 

解りやすく説明すると、例えばレンタルショップでDVDを借りると、1週間で300円必要だとします。300円はDVDを借りるための費用であり対価ですよね。
 
DVDの代わりにお金を借りてもそれは同じことです。借りるための料金として金利があるのです。
 

金利と利息の違いを理解しよう

 
キャッシングでは費用として金利が提示されていますが、中には「利息」「利子」「年利」「月利」「日歩」など違う言葉が記載されていることがあります。
 

これらの違いに解らずに契約してしまうこともあるのですが、ケースによってはそれが大きな失敗となることもあるようです。
 
【金利】
 
金利は基本的に年間利率を表しており、50万円の借入れで金利が10%であれば「50万円×10%=5万円」で、1年後に返済する場合には「50万円(元本)+5万円=55万円」を返済することになります。
 
【利息】
 
利息は金利と同じ意味合いですが、実際に必要な費用の金額を表す言葉です、上の金利の例であれば5万円が該当し「利息5万円」と表します。
 

【利子】
 
基本的に利子は利息と同じ意味を持っています。実は銀行とゆうちょ銀行では使い方に違いがあり、銀行では「利息」を使い、ゆうちょ銀行では「利子」を使用しています。
 

【年利】
 
一般的に金利とは年間の年間利率を表しています。つまり年利と金利は同じ意味です。借入れのための年間の費用割合と考えて下さい。
 

【月利】
 
月利は年利を12分割したもので、1ヶ月に必要な利率のことを表します。例えば年利が15.0%の場合、月利は1.25%となります。
 

【日歩(ひぶ)】
 
今では日歩を使用する借入れは少なくなっていますが、日歩は月利よりも細かい1日あたりの借入費用を表しています。
 

昭和時代の金融業者(サラ金など)では、日歩による契約書が多く使用されており、理解できないままにサインしている人も少なくなかったそうです。 

日歩とはあくまで利息と同じく利率ではありません。100円借りる際の費用金額を表す言葉で、例えば「日歩3銭で50万円借入れ」したケースでは、「50万円÷100円×0.03円(3銭)=150円」になります。
 
つまり50万円借りて1日で150円の利息がかかることになります。
 
【日歩を年利に換算】
 
日歩を年利に関することは簡単にできます。つまり日歩に対して365日を乗じることで年利になります。
 
つまり日歩3銭であれば「365日×0.03(3銭)=10.95%」で、年利10.95%の借入れのことを指しています。
 

キャッシングを契約する際には様々な表記があるので注意する

 
キャッシングを申し込む時には必ず金利などの費用についての説明があります。
 
しかし表記には法的な規定がなく、金利や年利、さらには月利や日歩などと記載されることもあります。
 

一般的には年利であることが多いので、問題はありませんが、いざと言う時に慌てないように違いだけは覚えておきましょう。
 

手数料も含まれている金利が実質年利

 
キャシングやカードローンのホームページを見てみると、金利や年利ではなく「実質年利」と記載されていることがあります。
 

住宅ローンを借りたことがある人であれば知っていると思いますが、実はお金を借りる際には「事務手数料」などの経費を支払うことが必要です。
 
この事務手数料の中にはローン会社の手間賃以外にも、契約書の収入印紙代や保証金なども含まれています。
 

つまり実質年利とは「(年利×元本+1年間の経費)÷元本」と考えて下さい。例えば年利が13%で50万円を借りた場合で、1年間の経費が3000円だとします。
 
「(0.13×50万円+3000円)÷50万円」ですから、実質年利は13.6%になり、0.6%が経費になります。年利と実質年利の違いをよく理解しましょう。
 

金利が解ったところで利息の計算方法を理解しよう

 
金利が解ったところで、実際に返済時に支払う利息はどのように計算すればよいのかを理解しましょう。
 

【一括返済】
 

例えば100万円を1年間の借入れで契約して、1年後に全額支払うとします。この場合、年利は15%で契約しました。
 
このケースでは「100万円×0.15+100万円」なので、115万円を1年後に支払う必要があります。
 

このように一括返済であれば、利息の計算はいたって簡単です。「原本×年利」で年間の利息が算出できるので、これを元本に加えて返済すればよいのです。
 

また1ヶ月で100万円を一括返済する場合には「100万円×0.15÷365日×30日」で1ヶ月(30日分)の利息を算出することができます。
 
つまり12328円を100万円に加えて返済することになります。
 
【分割返済】
 

分割返済での利息計算は元本の残額に対して行われるので、返済が進むことで利息は徐々に少なくなってきます。
 
例えば年利15%で100万円の借入れし、毎月20万円の元本を返済するとします。
 

1回目は「100万円×0.15÷365×30日(1ヶ月)」の利息が発生するため20万円を加え212,328円の支払いになります。
 
しかし元本が80万円になったので、2回めは「80万円×0.15÷365×30日(1ヶ月)」となり209,863円を支払う必要があります。
 

このように元本が減ることで利息も少なくなるのが分割払いの特長です。
 

支払いが遅れると遅延利率が適用される

 
キャッシングでは金利以外に「遅延利率」「遅延利息」「延滞利息」などの表現で記載されているものがあります。
 
これらは「延滞損害金」と呼ばれるもので、支払いが遅れることで適用される年利のことです。
 

延滞利率は支払い予定の期日が過ぎた時点から発生する利率で、多くの金融業者では法律の制限である20.0%に規定してあります。
 
つまり、100万円を年利10%で借入れしていても、返済予定日に返済がされないと翌日から年利20%に変更されてしまうのです。
 
延滞利率の適用は滞った返済が行われると元の金利に戻りますので、支払いを忘れた場合にはすぐに行うようにしましょう。
 

延滞利率が設定しているキャッシングで、滞納を続けると年利20%が適用されたままになり、100万円の借入れに対して年20万円の利息が付くことになります。
 
これでは借金が加速度的に増えてしまうことになり、返済不能状態に陥ることになるでしょう。
 

実際に延滞金利が適用されたことがきっかけで、自己破産することになった人は大勢います。
 
滞納に対する罰則でもある延滞利率は、場合によっては債務者を破産へと導く原因にもなるのです。
 

単利と複利の違いを覚えておこう

 
「単利」や「複利」はキャッシングではあまり馴染みのない言葉ですが、金利を考える上で重要な意味合いがありますので覚えておきましょう。
 

単利とは1年単位にかかる金利のことで、100万円を年利15%(単利)で2年借りた場合では「100万円×0.15×2年」で30万円の利息となります。
 
つまり1年間の利息を2年分支払う計算になります。
 

次に100万円を年利15%(複利)で2年借りた場合ではどうなるでしょうか?まず1年目ですが「100×0.15×1年」ですから15万円が利息です。 
2年めの計算ではこの利息が元本に含まれて計算する必要があります。
 

「(100万円+15万円)×0.15×1年)で17.25万円が利息になるのです。つまり単利で2年後に返済すると130万円ですが、複利では132.25万円になります。
 
単利と複利では2万円以上の差が出るのです。
 

キャッシングにおいて複利に注意しなくてはいけないのが先程説明した延滞損害金です。
 
キャッシングの際に交わす契約書には、延滞損害金の取扱に付いての記述もありますが、その中で複利特約が付帯されている場合があります。
 

そうすると延滞損害金は元本に加算されることにより、利息が利息を生む状態になってしまいます。
 
また契約書に複利特約がないケースでは「1年以上の滞納があり督促に応じない」場合にかぎり複利とすることができます。
 

キャシングでは滞納すると延滞損害金がどんどんと元本に加算されてしまうことを覚えておきましょう。
 

キャッシングには金利の上限があった

 
キャッシングを利用する際には、なるべく安い金利のローンを利用したいと思いますが、調べてみると金利には上限があるように感じます。 
実は日本では利息制限法と呼ばれる法律で金利の上限を規定しています。

 

 
【利息制限法の金利規定】

  • 元本10万円未満:年利20%まで
  • 元本10万円~100万円未満:年利18%まで
  • 元本100万円以上:年利15%まで

つまり99,999円までの借入れであれば、20%の年利を設定することができますが、10万円を超えてしまうと年利18%までしか設定することができなくなります。
 

そうなると50万円を借りる時に20%の契約を行ったとしたら、それは違法な契約であり無効になります。(まともな金融業者にはない話です。)
 

また利息制限法では上限が規定されていますが、延滞損害金は上限の1.46倍まで設定できると規定されています。
 
そうすると最大で29.2%(20%×1.46倍)まで、延滞利率が規定できてしまいますよね。
 

しかし貸金業法では延滞利率が20%が上限となっていることから、金融業者はこれを適用しなくてはいけないのです。
 

過去の金利差が過払い金を生んでいた

 
最近テレビを見ていると弁護士事務所や司法書士事務所のコマーシャルを見ることがあります。
 
これは「過払い金訴訟」に関する告知で、近年彼らの大きな収入源となっているものです。
 

「お金を借りていたのに返してもらえる」なんて美味しい話しですが、実際にはこれにはグレーゾーン金利と呼ばれる過去の混乱が関係しています。
 

日本には金利を規定する法律として「利息制限法」と「出資法」があります。
 
利息制限法はその名の通り、貸金業者がお金を貸す際に設定する金利の上限を定めています。
 

それでは出資法はどうか言うと、これは個人に対する融資ではなく法人などの事業に対する融資を念頭においた法律です。
 
そのため上限金利も高く、2000年以前には年利40.004%が設定されていたのです。
 

そのため金融業者は利息制限法ではなく、出資法を根拠とした金利を設定しており、それが「サラ金地獄」などの社会問題を生む原因になったのです。
 

この利息制限法と出資法の利率のズレがグレーゾーン金利であり、当時から専門家によって違法性を指摘されていたのです。
 
現在では出資法の改定により、このグレーゾーン金利は解消されています。さらに最高裁の判決においても、グレーゾーン金利は違法であるとの判断も出ています。
 

つまり過去に支払った利息であっても、グレーゾーン金利が適用されたものは、返還の義務があるとの判断を下した訳です。
 

金利が18%しか設定できないところに、40%もの高利で貸していたのですから、長期間に借り入れしていた人の中には、100万円以上の返還を受けた人もいます。
 
反対に言うと金利を疎かに考えていると、それだけの負担が必要になるとことを表しています。
 

100万円返還された人は、200万円以上の金利を支払っているのです。そこを忘れないようにしましょう。
 

金利をしっかり計算してからキャッシングを利用する

 
A子さんは金利を勉強することで、自分のとった行動に驚きを感じました。契約したカードローンは金利が15%のものですが、10万円の借入れでは1年間で1万5千円もの金利が付いてしまいます。30万円なら4万5千円です。
 

いつでもATMで利用できるキャッシングですが、便利な裏には大きな負担が隠れていたことを理解できたのです。
 

それでもイザ言う時には頼りになるカードローンです。これからはしっかり金利も計算に入れて、返済計画を立ててから利用すると心に決めたのでした。