おまとめローンを行うと具体的にどのようなお得な事があって、損をする事があるのかな?
おまとめローンは借りているお金を一本化する事で金利を抑える、その結果借金の総額が減るという仕組みですが、間違えた知識を持っていると逆に損をするケースもあるので注意が必要です。
この記事ではおまとめローンの概要や注意点をYさんの体験談を交えながら説明をしていきます。
金利が借金問題の一番の重要課題
「お金を借りたい!」と思った時に、何を基準に金融業者を選びますか?
「会社の規模」「安心性」「審査の難度」どれも気になるポイントですが、やっぱり一番のポイントは「金利」ですよね?
お金を借りる上で最も気になる金利は、これからの借金返済を行う上で最も重要なポイントになります。
「そんなに借りていないから大丈夫だろう」と思っていても、金利が高いことで返済にてこずってしまうことはよくある話です。
元金は計算に入れているのに、金利までは深く考えていなかったことが、後々トラブルを引き起こす原因です。。
また、てこずる程度であればよいのですが、2件、3件…と借入先も増えてしまい、元金も増加して返済に行き詰まることにもなりかねません。
そこで威力を発揮するのが「おまとめローン」を賢く利用する方法です。
ここからは実際にYさんの借金返済話を交えながら、より具体的な事例として開設を行います。
クレジットカードの支払いをキャッシングローンで行ったYさん
Yさんは東京の会社に務める25歳の社会人です。彼の会社は大手輸入商社で、彼は大学を卒業してから営業担当として働いていました。
真面目に働いているYさんですが、彼にはちょっと問題があります。
彼は「欲しい!」と思ったものは、とにかく手に入れたい性格で、ボーナスまで待つことができません。
クレジットカードのボーナス払いを利用して、「購入は今」「支払いはボーナスで」なんてコマーシャルのような買い物を続けていたのです。
しかし、楽しいボーナス払い生活は終焉を迎えることになります。
日本の経済に暗雲が立ち込めて、Yさんの会社も大きな影響が出てしまいました。流石に倒産まではありませんでしたが、ボーナスのカットは彼にとって思いもしない状況だったでしょう。
突然のボーナスカットにYさんは狼狽を隠せず「え~ボーナス払いの50万円、どうしよう」と叫んでしまったそうです。
しかし、来月に迫っている支払いは待ってくれません。悩んだ末に彼が導き出した解決策は「キャッシング」でした。
新たにキャッシングローンでお金を借りて、ボーナス払いを乗り越えようと思ったのです。
初めてのキャッシングローンは手続きも簡単でした。申し込みや証明書類の提出もオンライン作業、審査も30分から1時間、そして融資上限が50万円のローンカードが手に入ります。
早速、ボーナス払いに不足している40万円を借りて、そのまま口座に入れました。
何とかクレジットのボーナス払いを乗り越えたYさんでしたが、これが彼を借金の罠に引き込む原因になるとは思いもしなかったでしょう。
Yさんは簡単にお金を借りる方法を覚えてしまいました。返済も月々2万円程度だったので負担も感じません。
そしてブランド品などの購入にもキャッシングローンを使用するようになりました。
始めは1社だけでしたがそれが2社、3社…と増えてしまうのには時間がかかりませんでした。
またクレジットカードでの買い物も続けており、ついに返済も月々10万円を超えてしまう状況です。
そして買い物をするどころか、毎月の支払いに窮するようになったのです。
Yさんのケースは決して珍しい事ではありません。
誰しも最初は返せる借金と決めつけてお金を借ります。しかし人生何があるかわかりません。
突然目の前が暗くなることは誰しも可能性がある話です。
4つの借金をまとめることで月々の負担が3割減に
Yさんは流石にこのままではマズイと思って、証券会社に勤めている友人に相談しました。
彼はちょっと話を聞いただけで「そりゃ金利に押しつぶされているよ」と呟いたそうです。
つまりYさんのキャッシングローンの多くが高金利で、その平均は16%を超えています。
利息制限法以内なので法的に問題はありませんが、一般的には長期に抱え込む債権ではありません。
借金の総額が大きければ大きいほど金利の負担が大きくなります。
借金返済が出来なくなる一番の原因は【金利】なのです。
また、ほぼ金利だけしか払っていない業者もあり、まともな返済状況ではなかったことが確認できました。
Yさんの借金総額は250万円弱で、単純に金利だけで年40万円も支払う計算になります。
月々に10万円払っても4ヶ月間は利子分にしかなっていなかったのですね。
「どうしたらいい…」Yさんは頭を抱えてしまいます。そこで友人は借金をまとめる「おまとめローン」を彼に勧めました。
友人から話を聞いたYさんは、早速おまとめローンの資料を集めて、ある銀行に申込みを行うことにしました。
そして安定した会社に就職していることが功を奏して、無事に250万円の借り入れを年7%の利率で借りることができたのです。
つまり今までのキャッシングの金利は平均16%ですから、半分以下に減額されさらに返済期間も伸びることになりました。
月々の返済も3割以上少なくなって、これなら頑張って返済できる範囲内です。
「キャッシングを利用する時に金利は意識しなかった、16%と7%ではこんなにも返済額に違いがあるなんて…」とYさんは感じたそうです。そうして彼の新たな返済が始まりました。
おまとめローンにも審査があり、審査が落ちればおまとめローンを利用する事は出来ません。
今も昔も返済のポイントは金利
Yさんのケースでも解る通り、キャッシングを申し込む時に金利をあまり意識しないことが多いようです。
その時はとにかく借りたい、すぐにでも借りたいとの意識が働き、15%でも18%でも構わなくなります。
日本の利息制限法では金利の上限を以下のように定めています。
- 元本が10万円未満:金利20%
- 元本が10万円以上100万円未満:金利18%
- 元本が100万円以上:金利15%
日本では利息制限法で定められた金利を超える融資は禁止されています。
つまり、平均で16%以上もの金利が付いていたYさんのキャッシングは、合法であってもリミットギリギリの所にあったのですね。
金利は金融素人には解りにくいところがあり、10万円を年利18%で借りて12回払にした場合、毎月の返済額は9160円程度です。
このように少ない金額を短期で返すとそんなにも負担を感じません。金利も合計で1万ちょっとです。
しかし金利の怖さは元金の増加と返済期間の長期化で現れてくるのです。
同じ金利で100万円を60回払いで支払うと月々の支払いは2万5千円程度ですが、金利の合計は50万円を超えてしまいます。
100万円借りて50万円以上が利子です。
長期化すればするほど負担がきつくなります。
これでは返済に行き詰まるのも無理はありません。
単純に金利が9%になれば、金利が約25万円になるし、6%なら約18万円になります。
これくらい金利によって支払額に差が出ることを理解しなくてはいけません。
昔は大手サラ金でも金利が43%もあったそうです。そうなると5年で約150万円の金利が付く計算です。
金利とは甘く見ると怖い存在なのです。
目的は金利を低くすること…それがおまとめローン
Yさんのように借入先が複数あると、それぞれの借入先の金利にばらつきが出てしまいます。
一般的には始めに借りた業者で金利が低く、後に借りた業者の方が金利は高くなる傾向が見られます。
これは借り入れが増えると審査が厳しくなることで、審査の比較的ゆるい高金利業者へと流れてしまうことが原因です。
特に1社目は7%~9%で借り入れできたのに、数社目には18%ギリギリの金利で借り入れをしているケースが多いようです。
そこで重要なのは自分の借金総額における平均金利の算出です。
【借金の平均金利を算出する方法】
- A社:金利8% 借り入れ40万円
- B社:金利15% 借り入れ50万円
- C社:金利18% 借り入れ50万円
- D社:金利16% 借り入れ40万円
- E社:金利18% 借り入れ30万円
A社では年間3.2万円の金利が発生します。
B社では7.5万、C社9万円、D社6.4万円、最後にE社5.4万円の年間合計31.5万円です。元本が210万円ですから、年間の金利は15%になります。
この方法は簡単にできるので、ぜひやってみて下さい。
A社では8%借りられていたのにも関わらず、平均してみると15%もの高金利で借り入れを行っていることが解ります。
おまとめローンの利用はこの金利を少しでも減らすことで、負担を減らして早期の完済を目指す方法です。
そのためにはまず個別に借り入れしている金利をまとめてみる作業が重要なのです。
借金には限界がある!総量規制に注意
実は日本の貸金業法では、収入の約1/3以上の借金を規制しており、年収が500万円の人は166万円しか貸金業者から融資を受けることはできません。これを「総量規制」と呼びます。
つまり年収500万円の人は166万円を借りると、もう新しい借り入れは実質上不可能になってなるのです。
でもそれではおまとめローンを借りるにも、借りることができないですよね。
しかし、この法律はあくまで貸金業者に対するもので、全ての金融会社が対象になる訳ではありません。
貸金業法の対象となる、貸金業者とは以下の業種です。
【貸金業法で規制される金融会社】
- 消費者金融(いわゆるサラ金各社)
- 事業者ローン会社(商工ローン各社)
- リース会社(レンタルではない)
- 信販会社(クレジットカード会社におけるキャッシング)
- その他
ここで紹介した金融会社は全て貸金業者であり、総量規制の対象になります。
つまりトータルの借金が年収の1/3を超えたら、これらの業者からは一切の借り入れができない状態になってしまいます。
しかしあることに気が付きませんか?貸金業者の中に、なんと銀行が含まれていないことです。
実は「銀行」「信用金庫」「信用組合」「農協」「労働金庫」などは貸金業者に含まれず、総量規制の影響を受けないのです。
つまり総量規制を気にしないで借金をまとめるには、銀行系のおまとめローンを利用するのがベストであることが解ります。
おまとめローンは銀行系にするのが賢いポイント
実は貸金業者であっても借金をまとめるローンは、総量規制の適用にならず、消費者金融などの貸金業者においてもおまとめローンを販売しています。
しかし、それらのホームページを見てみると金利が最大で18%となっていることが多く、安い金利で借りられるとは思えません。
宣伝では4.5%~17.8%となっていても、結局17.8%が適用されるのなら意味が全くありませんよね。
しかし、銀行が販売しているおまとめローンには「住信SBIネット銀行」のように、金利が最大で7.99%のものがあります。
貸金業者の約半分の金利であり、借金を一本化するにはふさわしい商品だと言えます。
またSBI以外の銀行でも金利の低いおまとめローンが販売されているので注目してみましょう。
ただ銀行のおまとめローンは審査が厳しいイメージもあり、実際に審査に落ちる人も少なくありません。
それが怖くて申し込みを止めたり、金利の高い貸金業者のおまとめローンを選んだりすることもあるようです。
借金を一本化するなら金利は安くないと意味はありません。まずは銀行系のおまとめローンをメインに申し込むことを実行しましょう。
銀行系のおまとめローンを借りやすくする方法
実は銀行にとってはおまとめローンは販売したくない商品かもしれません。
それは複数の借金をしている人が、新たに融資を申し込んでくるのだから当たり前のことです。
そこで申込みの時に実行したポイントが「担当者に借金を一本化して完済したい」と丁寧に説明することです。ここで嘘を話してはいけません。
5社から借り入れているのに「3社だけです」と嘘を言っても、銀行は信用情報機関から借入状況を把握しています。
これでは借り入れすることなどできないですよね。
しかし、「5社から200万円借りていますが、今回一本化して3年で返済します」と話したらどうですか?ガラッと印象が変わりませんか?
大切なのは自分の収入と返済計画を自分なりにしっかりと持って、おまとめローンを申し込むことです。
金利は高いが期間を伸ばす方法もある
銀行系のおまとめローンで審査が通らなかったからと落ち込んでいる必要はありません。
おまとめローンは金利を下げるのが主目的ですが、金利が下がらなくても使い方によっては借金返済に役立つことがあります。
貸金業者で販売されているおまとめローンは軒並み金利が高くなってしまいますが、審査は銀行と比較して厳しくありません。
そこに全ての借金をまとめるだけでなく、返済期限の引き伸ばして貰うのです。
つまり返済期限を伸ばすことで、月々の負担を減らすことが狙いです。
借金がバラバラだと毎月の支払日や、返済期限もバラバラ。これでは借金を管理することもできなくなり、計画的な返済はできません。
しかし借金の一本化は返済期限が一つなので、管理もたやすく計画性のある返済ができるようになります。
そして時間をかけながら銀行系の安いローンを探し、将来的な借り換えを狙うのです。
銀行も5社から200万円借りている人より、1社で200万円借りて問題なく返済している人の方を高く評価するでしょう。
その意味でも借金を一本化するのには意味があります。
おまとめローンを賢く利用するポイントは「まずは銀行系」、だめでも「一本化を行い、実績を作る」です。借金が複数ある人は、考えていないで実行あるのみです。
ただし、手数料も含めて平均金利が高くなるおまとめローンは、絶対に利用しないで下さいね。
おまとめローンは借金を消す魔法ではない
結論を言うとおまとめローンは借金消してくれる魔法ではありません。
複数に借りているモノを一括にする事で金利を抑える。借金の状況転換と言えるでしょう。
根本的な解決をするには至らないのが正直なところです。
おまとめローン制度をしている会社も常にリスクとリターンを計算しています。
おまとめローンの審査結果で返す意識が低い、返せないと判断できる人に一括の借金を負担はしてくれません。
なぜなら金額が大きく貸し倒れがあるとおまとめローンで利益を取ることが出来ないからです。
国が負担をしているわけでもなく、1企業であり、企業は利益を追求します。
お金を借りている人、貸す側、双方にメリットがない場合にはおまとめローンも意味をなさないのです。
最終的に返せない借金は【債務整理】を行うのが今の日本の流れになっています。
返したいけど、金利がきつい、、、こうした人にとっておまとめローンは力強い味方になってくれるでしょう。