「何とかしてこの借金をなくさないと俺の人生終わってしまう」このような悩みを持っている人は、自分の置かれた状態に絶望して、どのように行動すればよいのかも解らなくなります。

知恵博士知恵博士

返済を続けた借金の時効はあるのか?と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?

「業者に相談して借金を減らしてもらう」「月々の返済を少なくしてもらう」「自己破産する」色々な考えが頭をよぎりますが、考えるだけでも気持ちが追い詰められているように感じてしまうのです。

 

そして最後には「もう…逃げちゃおうかな?」なんて考えてしまい、「放おっておいたら、借金なくなるかしれないな?」とヤケを起こしてしまいます。
 
「そんな訳ないでしょう!」とツッコミたくなりますが、しかしですねぇ実は…借金は放おっておいたらなくなるのです。これ知っていましたか?
 

借金には犯罪と同様に法的な時効があった

 
「時効」を聞いたことがあると思います。よく刑事物のドラマで「山さん、この犯人の時効まで半年しかないですよ…」などの台詞を聞くことがあります。
 

時効とは「ある出来事の起算点から一定期間が過ぎた時点で、その時点での法律的な権利が存在する」との制度で、刑事ドラマではあくまで「時効の消滅」を時効と表現していたのです。
 

つまり犯罪の中には時効の消滅までの期間が定められているものがあり、その期間が過ぎると犯罪が消滅されてしまいます。
 
つまり犯罪を行っても一定期間逃げれば、起訴することができなくなるのです。
 

実はこのような時効が借金にも定められています。借金は犯罪ではないので、原則としては支払いが停止した日を起算点として、一定期間支払いがないと時効の消滅(消滅時効)になります。
 
つまり放おっておくことで借金がなくなってしまう夢のような話なのです。
 

借金の消滅時効は誰に借りるかで期間が変わる

 
日本の法律の考え方として、「長期間一定の状態にある権利について、そのままの権利関係を認める」との原則があります。
 
つまり「長期に渡って放置していたのだから、もうそのままでいいでしょう」との考え方があるのですね。
 

そこで時効を定めることで、ここの長期と呼ばれる期間を明確にしていたのです。借金における時効では誰から借金をするかによって期間に違いがあります。

    • 法人(金融業者)からの借金:5年
    • 個人からの借金:10年

つまり、銀行やサラ金、クレジット会社など法人からの借り入れでは、5年が時効になりこれが過ぎると消滅時効になります。
 
しかし、友人知人などから借りたお金は、個人からの借金なので時効は10年と長くなるのです。
 

これは債権者の権利を守る上で、法人よりも個人の方を手厚くしているからです。
 

これだけ見ると金融業者からの借金は、5年間放置するとなくなることになりますが、こんなに美味しい話なんてあるのでしょうか?
 

時効のカウント開始は最後の支払いの次の日から

 
時効はある一定期間支払いがないことで権利関係がなくなる制度ですが、その時効のカウント開始は状況によっていくつかのパターンがあります。
 

数回返済して支払いがストップしたケース

 
借金をして毎月1日に返済を約束していたケースで、返済が3回でストップしたと仮定します。
 
このようなケースでは時効のスタートが、4回目の支払期日の翌日が時効カウントダウンの開始日(起算日)になります。
 

一回も返済していないケース

 
借金を分割返済で契約して1回目の支払日から滞納したケースでは、1回目の支払い期日の翌日が時効カウントダウンの起算日になります。
 

返済期日を定めていないケース

 
返済期日を定めてない契約での借金では、契約日の翌日が時効カウントダウンの起算日になります。
 
ただし、途中で少しでも支払いを行った場合には、支払った日の翌日が新たな起算日になるので注意しましょう。
 

一定の約束の下、返済期日が解らないケース

 
例えば借金をした時にその返済を、親の遺産でするとの約束をしたケースでは、返済期日を明確にすることができません。
 
あくまで親の相続が開始された時点が返済日なので、事前には解らないからです。
 

このようなケースでは親の遺産相続を開始した時点が、時効カウントダウンの起算日になります。
 

借金における時効の起算日を「お金を借りた日」と思っている人が多いのですが、実はそうではなく最後に支払いを行った翌日だと覚えておきましょう。
 

借金の時効は相手に通知して始めて消滅する

 
ここまで読んで「そうかぁ借金は5年間払わないでいると支払う必要がなくなるんだ」と思うかもしれませんが、消滅時効を得るためにはもう一つのステップが必要になります。
 
それが「時効の援用」。
 

援用とは「自分の主張を相手に伝える」ことで、いわば時効が過ぎたことで、債権が消滅することを債権者に通知することです。
 
この時効の援用を行わない限り、消滅時効とならないので借金がいつまでも残ることになります。
 
そこで「貴方との債務関係は終了しました」と通告するのですね。援用の方法は基本的に内容証明郵便で送るのがよいでしょう。
 
書き方には決まりはないので、郵便局の窓口で相談したり、インターネットで検索したりして参考としましょう。
 

内容証明郵便で重要なポイントは日付です。かならず時効が過ぎてからの日付で送付することが大切で、時効の1日前の日付では効力はありません。
 

また時効の援用は直接口頭でも有効とされていますが、直接債権者に会って「借金なくなったから…」と言うのは気が引けますよね。
 
やはり内容証明郵便が一番かもしれません。
 

時効には借金の消滅以外に取得が認められるものもある

 
借金の時効は一定期間返済しないことで、消滅時効の権利を有するものですが、時効には「取得時効」と言ってそれとは違う考え方のものがあります。
 

取得時効の例

 
Tさんは25年前に土地に家を建築して、それからそこに住んでいました。もちろんTさんは土地も家も自分の所有だと思っていたのです。
 
しかしある日、Tさんの家にYさんが現れて「この土地は私の土地だから出ていってくれ」と言うのです。
 

驚いたTさんは法務局で土地の登記簿を確認したところ、確かに名義がYさんになっていたのです。
 
しかし25年も住んだ我が家です。また土地はずっと自分のものだと信じていました。今更家を取り壊すことなんてできるはずもありません。
 

そこでTさんは弁護士に相談することにしたのです。弁護士は話を聞いて「あぁこの土地はもうTさんのものですよ」「取得時効が成立しますから」と言ったのです。
 

取得時効は「10年間所有の意思をもって平穏且つ公然に他人の不動産を占有したる者はその占有の始め善意にして且つ過失なかりしときは、その不動産の所有権を取得す。
 
20年間所有の意思をもって平穏且つ公然に他人の不動産を占有したる者はその所有権を取得す。(162条)」と定めています。
 

つまり特に暴力行為などを行わないで平穏に10年間以上、不動産を占有すると所有権が移動すると書かれています。
 
Tさんは25年間、Yさんから、土地の権利を主張されておらず、平穏に占有していました。そのことで土地の所有権がTさんに移動したのです。
 

Yさんには可愛そうですが、自分の資産を放置していたことが仇になったのですね。
 

これでは貸主が可哀想!時効は阻止できるのか?

 
ここまでは借主に有利な時効の話でしたが、それではあまりにも貸主に不利益が多すぎます。そこで貸主が一定の手続きを取ることで、時効を中断させることができます。
 
時効は起算日からカウントダウンが始まりますが、中断とは時効の進行を止めて、カウントを「ゼロ:0」に戻してしまう手続きです。
 
つまり5年時効の案件で4年半時効が進行していても、中断の手続きを取ることで、また始めから時効をやり直すことになるのですね。
 
中断と呼ばれていますが、実質的には「リセット」のような制度だと理解しましょう。
 

実際に時効の中断を行うに主に3つの方法があります。

      • 請求
      • 差押え
      • 承認

裁判所による請求で時効は中断する

 
請求は単に借主に支払いを請求することではなく、裁判所による請求を意味しています。つまり、訴訟を起こして借金返済を提起することになります。
 

裁判所への申し立てが認められると、裁判所から債務者に支払命令が出されます。裁判所が借金の返済を認めることで時効も中断されるのです。
 

債務者からの異議申し立ても可能ですが、実際に借金を返済していないのだから、なかなか時効の中断を阻止すること難しいかもしれません。
 

財産を差押えると時効が中断になる

 
裁判所から債務の強制執行が出されると、債権者は債務者の財産を「差押え」することができるようになります。差押えの対象には不動産や預金、給与などがあります。
 

差押えを行うことで、時効は中断され進行がリセットされます。差押え以外にも「仮差押え」や「仮処分」も同様の効果があります。
 

途中で借金を承認すると時効は中断される

 
時効が進行する間には債権者から様々な督促を受けることになります。例えば支払いが滞納していても、「1000円でいいから払って」と言われることがあります。
 

そこで1000円ならと支払ってしまうと、それが債権の承認となって時効が中断してしまうのです。
 
つまり1000円でも払うことは、債権があることを認めているから支払ったと認定されてしまうのですね。
 

また債権者が支払いの猶予を申し込むことも、債権を認めることになるので時効が中断される理由になります。
 

内容証明郵便でも限定的な時効の中断ができる

 
時効を中断させるには裁判所の手続きが必要で、簡単に行えるものではありません。また時効を忘れていて、1週間後には時効を迎えてしまうこともあるでしょう。
 

このような時、簡単に時効を中断できる手続きがあります。それが「内容証明郵便による時効の中断」です。
 
これは郵便局の内容証明郵便を利用する請求行為で、要は支払いの督促状を送ることです。
 

ここで注意したいのが、内容証明郵便を債務者が受け取ることで時効は中断しますが、その効力は時効の進行をリセットするのではなく、6ヶ月間進行を停止させる効力しかないことです。
 

つまり一時的に時効を停止させても、正式な時効中断の手続きを取らなくては、また時効が続きから再開されてしまうことになります。
 

それでは内容証明郵便を6ヶ月ごとに発送したらどうでしょうか?中には「半年ごとに内容証明郵便を送ると時効は関係ない」との噂もあるようですが、どうもこれは間違っているようです。
 

内容証明郵便による時効中断の注意点

      • 内容証明郵便による時効中断は1回のみ
      • 内容証明郵便で時効を中断しても進行はリセットされない
      • 内容証明郵便を何度出しても意味はない
      • 6ヶ月の中断期間中に裁判所で請求、差押えなどの手続きが必要

あくまで内容証明郵便での時効中断は限定的な効果しかなく、一回しか利用できないことから、時期を考えて利用することも大切です。
 

実際に借金は時効で逃げ切れるのか?

 
それでは実際に借金は時効の消滅で逃げることができるのでしょうか?実際に逃げ切った人はいると思いますが、現在の日本ではそんなに上手くはいかないようです。
 

債権者からの督促から逃げるためには、まず居住地を知られないことが必要です。しかしそうなると住民票の移動ができなくなり、様々な不利益を被ることになるでしょう。
 
日本ではマイナンバー制度が始まり、全ての個人情報がこのカードに集約される予定です。
 
そうなると住所不明では様々な住民サービスが受けられなくなり、特に家族がいる人は子供の教育にも支障が出てしまいます。
 

車や住宅を購入することもできなくなり、クレジットカードや新たなローンを利用することも不可能です。
 

借金の時効が進行している間は、もちろん返済を行っていないのですから、その間借金の元金は残ったままです。
 
さらに金利が膨らんでいることから債務自体はどんどんと増えていることになります。
 

キャシングなどの金利は高い金融業者で年18%です。延滞金利も発生しますので、放置するだけでべらぼうな額の債務になることもあります。
 
そして一杯に膨らんだところで、時効の停止をされたらたまったものではありませんよね。
 

そしてこのようなことを考えていると精神的に圧迫されてしまうことも問題です。
 
犯罪者でもないのに、引っ越しを続け逃げ回ります。そのような生活を送ってしまうと精神的に参ってしまい、うつ病を発症してしまうかもしれません。
 

借金を時効で逃げ切るには、強い意思と覚悟がなければ難しそうですね。
 

時効を目指すくらいなら債務整理の方が簡単かも

 
最近の金融業者は債務者が音信不通になると、債権を回収専門の業者や弁護士に移管することが多いようです。
 
彼らはプロなので大抵の債務者はすぐに見つけて、法的な対応を取ってきます。
 
そうなると借金から逃げ切ることはほぼ不可能で、結局は働いて返済することになるでしょう。やはり時効を見込んで借金から逃げることは得策ではありません。
 

このように借金から逃げる行為は労力の割には効果が少ない方法です。これを選ぶ位なら債務整理を検討した方が、よっぽど楽に債務を解消することが可能です。特に自己破産を利用すると借金が全て消滅してしまいます。
 

自己破産は何年間も逃げ隠れする必要もなく、裁判所で免責を認められることで、たった数ヶ月で借金のない生活に戻ることができるのです。
 

消滅時効によって借金をなくすことは可能ですが、それよりも債務整理が楽で確実と言うところですね。
 
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